クリーニング大野屋の社長ブログ

広島で丁寧な仕上の衣類クリーニングをしている『クリーニング大野屋』の政木です。

汗が原因となって、変色やシミなどに、なることがあります。

最近では、水洗いに対応した衣類や、ドライマーク衣類が洗えるとされる、家庭用洗剤などが普及している中で、プロのクリーニングとして、可能な限り汗を除去することが望まれる事例を、紹介します。

品名:婦人ズボン

素材:キュプラ65%、ポリエステル35%

取扱表示:手洗い30℃、ドライマーク

処理方法:石油系溶剤によるドライクリーニング、タンブル乾燥、ハンドアイロン

■ 衣類の状態

ズボン後側の臀部(でんぶ)や、ズボン裏側のウエストベルト、裾部分など広範囲にわたり緑色に変化している。

初めてのクリーニングで戻ってきたら、色が変化していたため、「クリーニングで使用した薬品が原因ではないか」との、申し出があったもの。

■ 原因

汗の作用により、変色が生じたもの。

変色部分には、汗の成分である塩素やアンモニウムイオン、たんぱく質が残留しているのが確認できる。

これらは、ドライクリーニングでは除去できず、水分だけが蒸発することにより、塩分やたんぱく質が残留する。

残留物によるシミは、水性修理で除去することも可能だが、変色を伴っていた場合、回復は不可能。

汗による変色は、汗が直接作用するのではなく、汗成分を栄養源とする細菌などが、染料を分解するために生じるとの説がある。

■ 事故の防止対策

汗汚れは、こまめに除去すること。

水洗いができない衣類に対しては、スチームスポッターによる処理などが、有効となる。

受付の段階で利用者に着用の頻度や状況を確認し、汚れの状態を推測した上で、汗汚れを除去するようにする。

また、汗汚れを放置することで変色したり、除去できないシミになる可能性を説明するのも、クレーム防止の上で有効と考えられる。

水洗い不可の表示製品を、ウエットクリーニングする場合は、収縮や色の変化、風合いの変化などが生じる可能性を事前に説明し、了承を得ておくことが必要。

アパレル側の対応として、汗汚れの多い夏物は水処理が可能な製品を、企画することが望ましい。

■ 汗

汗には、体温調整のための温熱性発汗と、精神緊張時に手のひら・足裏などに生じる精神性発汗の、2種類がある。

汗中の成分は、発汗の部位や個人差などにより異なるが、水分が98%以上で塩化ナトリウム、尿素のほか尿酸、乳酸、アミノ酸などの有機酸やアンモニア、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含んでいる。

※[クリーニングニュース]より引用

夏物衣類を購入する際、手洗いや水洗いが出来る衣類を購入することが、おすすめです。

クリーニングを利用する際は、汗をかいたら放置せず、出来るだけ早くクリーニングに出すようにしましょう。

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