クリーニング大野屋の社長ブログ

モヘヤを混用した生地は、特有の張りや光沢、シャリ感などが好まれ、夏物の紳士用スーツ地などに使われていますが、摩擦や折り曲げなどに対する強度に欠ける性質も併せ持っています。

■ 事故の状況

ズボン後ろの膝付近の折り曲げ部分に、破損やキズが生じている。利用者は、「折り目加工や仕上げ時の強いプレスが原因になっているのではないか」と考えている。

■ 原因

着用やプレスが繰り返されることにより、生地が徐々に摩擦して自然発生的な破損が生じたもの、特に折り目部分は、着用中の摩擦を受けやすいことが原因として挙げられる。

■ 事故の防止対策

前述の通り自然発生的な現象のため、抜本的な防止対策はないが、硬くて張りやシャリ感のある生地を使ったズボンへの、強いプレスやシロセット加工などの折り目加工は避けることが望ましい。

■ モヘヤ

モヘヤはアンゴラ山羊の毛。生後6~18ヶ月の毛はキッドモヘヤと呼ばれ、最高級品とされている。成長するにしたがって毛が太くて硬くなるため質は低下する。

他の獣毛に比べ張りと光沢があり、シャリ感のある梳毛服地(そもうふくじ)や毛足の長いシャギー生地などに適している。

繊維は外層が硬く、内層が柔らかい構造になっているため摩擦や折り曲げ、引き裂きなどの強度に欠ける欠点がある。

モヘヤを使用していても、「毛」と表示されているだけの場合もあるため、硬くて張りやシャリ感のある生地を使ったズボン、シャープな折り目のついたズボンなどについては、受付時に折り目部分をチェックする。

生地が薄くなっていたり摩擦などがあれば、破損する可能性があることを利用者に説明して、了解を得ることが必要。

組成表示以外に、裾やウエストの内側などにモヘヤの混用を示していることもあるので、確認することが望まれる。

■ 獣毛

羊以外の動物からとれる毛を総称して獣毛と呼ぶ。衣料用としては山羊類、らくだ類を中心に約15種類。

山羊のようにはっきりとしたうろこや繊維のちぢれがないため、その製品は表面が滑らかで光沢がある反面、繊維同士が絡み合う縮充性が少ないために組織がルーズなものほど毛羽立ち、脱色しやすい。

※[クリーニング ニュース]より引用

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