クリーニング大野屋の社長ブログ

広島で宅配クリーニング(布団・ジュータン・衣類)もしている『クリーニング大野屋』の政木です。

染色に関連したトラブルの中には、染色加工に使用した薬剤や、染料が繊維を損傷させる原因物質になっていることがあります。

今回はその典型的な例として、硫化染料による綿繊維の脆化・破損の事例を紹介します。

品名:婦人用ゆかた
素材:綿
取扱表示:なし
処理方法:ランドリー、自然乾燥
■ 衣類の状態
ゆかたの柄になっている葉っぱや茎の濃色部分が脆化し、破損している状態。
柄の濃縮部分はpHが2〜3の酸性を示し、硫酸イオンが検出されることから、硫酸で綿繊維が脆化した可能性が推測できる。
■ 原因
染色に使用した硫化染料の構成成分である硫黄が、時間の経過とともに酸化して硫酸を生成し、綿繊維を脆化させたもの。
■ 事故の防止対策
染料自体が原因となっているため、クリーニングでの防止策はない。
染料として硫化染料を使用しないことが、抜本的な防止対策となる。
硫化染料を使用する場合には、酸中和剤による加工をするなどの対策が求められる。
※[クリーニングニュース]より引用
今回のゆかたのように、硫化染料を使用したものに関しては、防止対策はないと思った方が良い。

『硫化染料』とは

水に溶けない染料で、硫化ナトリウムで還元することにより水に溶解する化合物とし、繊維に染着させた後、酸化させて元の不溶性の染料を再生する。
主に綿の染色に用いられ、麻、レーヨンなどに使用することもある。
赤と鮮明なブルーを除く黄色から黒までの色相があり、一般に耐光や洗たくの堅ろう度が優れることから、学生服や作業服の染色に多く使われていた。
しかし、鮮明な色相がないことなどから、現在では黒以外の染料はほとんど使われなくなっている。

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