ポリウレタン樹脂は、合成皮革やボンディング加工布など様々な素材に使用されており、一見、変化していないように見えても劣化が進行していることがあります。 

今回は、バックコーティングに使用したポリウレタン樹脂の劣化による剥離について紹介します。

■ 事故の状態

ブルゾンで、表地ナイロン100%、裏地ナイロン・ポリエステル、中綿ポリエステルの品物です。

全体各所が空気が入ったようにぶくついた状態になっている。

受け付けたクリーニング店での受付時に変化は生じていなかった。

■ 原因

バックコーティングに使用されているポリウレタン樹脂が、長期の使用の間に空気中の水分などによる作用を受けることやクリーニング処理の繰り返しで劣化したことにより、部分的に剥離したもの。

■ 事故の防止対策

ポリウレタン樹脂の経時劣化は避けることができないため抜本的な防止対策はない。

ポリウレタン樹脂は空気中の水分による加水分解などにより、通常2~3年で劣化することが明らかになっており、クリーニング事故賠償基準ではコーティング品の平均使用年数を2年としている。

■ コーティング加工

コーティング加工などに使用されているポリウレタン樹脂は、組成表示の対象になっていない。ただし、バックコーティングやボンディング製品には、ポリウレタンの表示がされている場合もある。なお、バックコーティングは透湿防水やダウンの吹き出しを防止するために使用されていることが多い。

※[クリーニングニュース]より引用