クリーニング大野屋の社長ブログ

広島で即日仕上の布団クリーニングができる『クリーニング大野屋』の政木です。

スカート、表地:絹100%、アンダースカート:ポリエステル100%、裏地:キュプラ100%  取扱い表示ドライ石油系

■ 衣類の状態

お預かり時の対応で汗汚れが多いことを確認したため、水洗い禁止の表示であったがウエットクリーニングを行ったところ、表地が収縮してアンダースカートが表地のスカート裾まわりから見えるようになってしまったもの。

■ 原因

現品は強撚素材で、汗汚れの除去のために行ったウエットクリーニングによって「撚り縮み」が生じたもの。

■ 収縮が生じやすい素材・製品

素材では綿やレーヨンなどのセルロース系繊維や毛とその混用品。製品ではニット製品全般や強撚糸を使用した製品に生じやすい。

■ 事故の防止対策

取扱い表示表示で水洗いを禁じている製品に水を使用する場合は、あらかじめ素材や構造などを確認した上で、適正なクリーニング処理を選択することが望まれる。

アパレルは、汗が付着しやすい製品を企画する場合、水による処理が必要になることを配慮した設計を行うことが望ましい。

緩和収縮*の場合、洗たく・脱水後、たて、よこ方向に形を整えて乾燥することや、濡れた状態で引っ張りながら仕上げることで変化を抑えることができる。

*緩和収縮とは・・・製造工程で張力が加わって生じた残留ひずみが水分を受けて原形に戻ることによって生じること。

■ 類似の事故例

水分が影響したことにより生じる収縮には、繊維が水分を吸って膨潤し太くなり、乾いた後も変形した組織が元に戻らない「膨潤収縮」がある。

毛の場合は、水分を吸収し、さらにもみ作用が加わると毛の表面のスケール同士が絡み合って縮絨(しゅくじゅう)する「フェルト収縮」などがある。

※[クリーニングニュース]より引用

ウエットクリーニング(水洗い)は、洗濯物によって、収縮、パッカリング、移染、色泣き、変退色、各種加工の脱落など、修正不可能な状態に変化することがあり、注意が必要になります。

また、素材別に配慮が必要です。

・毛はフェルト収縮、絹は白化しやすいので特に湿潤時の摩擦を極力抑えること。

・レーヨンは、乾燥時と比べて湿潤状態での引っ張り強度が大きく低下するため、過度の張力をかけない。

以上のように、素材や機械力の調整などによりウエットクリーニングをしなければなりません。

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