クリーニング大野屋の社長ブログ

広島で丁寧な仕上の衣類クリーニングをしている『クリーニング大野屋』の政木です。

クリーニング事故の原因がクリーニング以外にあることの証明方法の典型として、紫外線による色の変化と衣料害虫による食害などがあります。

紫外線による色の変化は、紫外線で染料が分解されることにより生じる現象で、クリーニング返却後に発覚し、目視でも確認できるにも関わらずトラブルとなることの多い事故です。

本来であれば受付時に色の変化をチェックして利用者にも確認してもらい、双方が納得した上で預かるのが理想ですが、着用に伴う汚れなどで確認ができず、クリーニングで汚れが除去されることにより表面化してくることも考えられます。

このような場合でも、引き渡し前の最終点検またはそれ以前の工程で目視によるチェックはできるはずであり、異常を発見した時点で速やかに利用者に連絡を取り、紫外線が原因であることを説明して了承を得ることが必要です。

クリーニング組合には『クリーニング綜合研究所』というものがあります。

クリーニングのトラブル品の鑑定を依頼するところです。

■ 鑑定依頼事例

返却後に着用しようとして見たら、両袖の色が薄くなっていると申し出があった。

袖の色が薄くなったのはなぜか、クリーニングが原因か仕上げの際の熱が原因かを知りたい。

■ 事故原因がクリーニング以外にあることの証明方法

紫外線による色の変化は、外観上の明確な特徴があることから、その特徴を指摘しながら変化の原因は紫外線であることを引き渡しの前に説明することが、事故原因がクリーニング以外にあることの基本的な証明になります。

■ 紫外線による色の変化の外観上の特徴

1 ) 形が直線的で明瞭

光の当たる部分だけ色が変化するため、色の変化した部分と変化していない部分の境目は直線的で明瞭な形になっていることが多いのが特徴です。

2 ) 陰になる部分は変化しない。

紫外線が作用するのは、光の当たる生地の表面のみです。

そのため、衿裏、ポケットの内側、ボタンやベルトの陰、縫い代の内側など光の当たらない部分は一般的に変化しません。

光の当たる生地表面の色だけが変化して、陰になる部分は変化しないのが、紫外線による変色の最大の特徴です。

ただし、光が透き通るような薄地の生地の場合には、陰になる部分が変化することもあります。

以上、二つの特徴が揃えば、色の変化の原因を紫外線によるものと推定することができます。

基本的には、この二つの特徴を根拠に事故原因はクリーニング以外にあることが証明できるのです。

※[技術情報]より引用

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