クリーニング大野屋の社長ブログ

染料には金属に反応することで変色が生じるものがあります。
金属のファスナーとの接触で染色物の色が変化した事例を紹介します。

■ 事故の状態
 カーキ色のジャンパーの前立て部分でファスナーと接触する部分の生地が、赤茶色に変色している。

■ 原因
 ファスナーの金属成分と染料が反応したために変色が生じたもの。ファスナーの金属は銅合金、染料には反応染料が使用されている。
 生地を水で湿らせて、磨いた10円玉を接触させると同様の変色を再現できる。

■ 事故の防止対策
 ファスナーの金属成分と染料の反応による現象のために、クリーニングでの防止対策はない。

■ 反応染料
 繊維と染料が科学的な反応により結合して着色するため、染色堅牢度に優れており、色相も鮮明で、綿や麻などのセルロース系繊維に広く用いられている。
 ただし、繊維との結合が切断されると堅牢度が低下して色泣きや移染、変色などを生じることがある。

■ 金属による色の変化
 赤系統の反応染料には、銅によって青く変色するものが多い。
 金属製のファスナーのほか、金属製のボタンや金のネックレスなどによる接触が原因となり、色が変化することもある。
 また紫、紺、黒系統の染料では、染料中の金属が移行することで色が変化する場合がある。
 これらの染料は、銅などの金属を含んでいるものが多く、この金属が汗に移行することで赤味を帯びた色に変化する。また夏物のニットシャツなどに生じる衿や脇下などの変色は、金属の移行が原因になっていることが推定される。
 また、染料中の金属成分には、漂白剤として使用する過炭酸ナトリウムの分解を促進する作用がある。

※[クリーニングニュース]より引用

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